モノクロで観てみたい。/スティルライフオブメモリーズ
2018年製作/107分/R18+/日本
配給:オムロ
フランスの写真家アンリ・マッケローニにインスパイアされ企画された衝撃作。写真家とその恋人、美術館キュレーターによる三角関係を描く。監督は『スイートリトルライズ』などの矢崎仁司。矢崎監督作『ストロベリーショートケイクス』にも出演した安藤政信をはじめ、永夏子、松田リマ、ヴィヴィアン佐藤、伊藤清美、四方田犬彦らが出演する。(シネマトゥデイより抜粋)
【あらすじ】
山梨県立写真美術館でキュレーターをしている怜は、偶然入った東京のギャラリーで気鋭の若手写真家・春馬(安藤政信)の作品に魅了される。その翌日、怜は撮影の依頼のために春馬にコンタクトを取る。春馬は唐突な申し出と内容に戸惑うが、彼女を撮影することにする。撮影を通じて二人の心の距離が縮まっていくが、春馬には妊娠中の恋人がいて……。(シネマトゥデイより抜粋)
【感想】
映画のレビューサイトを見ると平均点はあまり高くはないけど、最後まで退屈する事なく鑑賞できた。アート系映画だけど比較的わかりやすい。ただ、登場人物たちの心境は、全くもって理解不能。実在する作家の撮影方法をベースにしたフィクションというのが救い。こんなドライな人間関係、あってたまるか!(笑)
主要な登場人物は前述の3人。彼ら、やってることは相当ぶっ飛んでるのに、劇中の会話のトーンがとてもフラット。敢えてなのか感情を表に出さず、目も合わせず淡々と話す。
例えば冒頭で怜が春馬に撮影を依頼し撮影現場で「じゃあ、何を撮りましょう?」となった時に、局部を撮影することを知るのだが、普通だったら驚いたりそれなりのリアクションがあってもいいと思うのだが、春馬は別段驚くこともなく、撮影の準備をする。春馬の恋人、夏生も冒頭のジャレ合うシーンでは何かフラット。妊娠を告げる時さえも。
怜が何故、自分の局部を被写体にしようと思い立ったかの理由はよくわからなかったし、ラストの病室での「自分も飲みたい」のシーンは謎だった。
劇中に登場する扉や螺旋階段、トンネルなど言いたい事はなんとなく分かったのだけど、作者の意図するところは理解しきれなかった。後半では春馬の恋人に子供が産まれたので(多分未婚のまま)、性というより生命を描きたかったのかな? いや、両方か。と答えを求めようとする方がナンセンスなのか。
ラストは春馬? アンリ・マッケローニ? の作品が映し出されるのだが、当然モザイクが入っていて雰囲気だけは伝わるのだが、この演出、意味なくないか? と思ったり。劇場ではモザイクはなかったのかもしれない。
終盤での春馬の行動も、なんか醒めた。まぁ、そうなるだろうな。とは思ったけど、そこは見せなくてもいい気がした。
シーンが切り替わる際にモノクロから始まってカラーに転調していく演出があるのだけど、全編モノクロで観てみたいとも思った。