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奇跡の3時間30分。/ アイリッシュマン

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Netflixで製作、配信中の生ける伝説、巨匠マーティン・スコセッシの最新野心作「アイリッシュマン」をあえて映画館で鑑賞。映画の概要を見るだけで滝の涙を流す想い。

ジャンルはスコセッシ監督オハコのギャングもの、キャストはロバート・デ・ニーロは勿論、意外やスコセッシとの初タッグのアル・パチーノ、語らずとも存在感デカすぎハーヴェイ・カイテル。そして…。

すでに俳優業を引退したジョー・ペシ!!!50回も断ったのに、マフィアばりのやり方で口説き落としたのかは定かでは無いがペシを無理やり再び表舞台へと連れ出すスコセッシの気合の入れよう。

ジョー・ペシ! ジョー・ペシ! ジョー・ペシ

彼を観ただけで本当に目頭が熱くなった。

おかえり、ジョー・ペシ!!!

【あらすじ】

トラック運転手のフランク・シーラン(ロバート・デ・ニーロ)は、マフィアのボスであるラッセル・バファリーノ(ジョー・ペシ)と知り合う。ラッセルに気に入られたフランクは殺しを請け負うようになり、全米トラック運転手組合委員長のジミー・ホッファ(アル・パチーノ)を紹介される。やがてフランクはジミーの右腕に上り詰めるが、ジミーの権力に陰りが見え始める。(シネマトゥデイより抜粋)

【感想】

こんな夢のような映画が作られるとは。3時間30分の中に詰め込まれたスコセッシの映画に対する情熱は77歳でも今だに煮えたぎっている。映画の尺としてはかなり長いがそれを感じさせない迫力。 

映画は老人ホームで誰かからインタビューを受けるロバート・デ・ニーロが自分の半生を語るところから始まる。特殊メイクなのか、地なのかわからないが、その時の彼は年老いている。しかし、時代が遡った時の彼は若かれしころの姿。これ、VFXを使っているのかメイクなのかが判別がつかないくらいリアルに彼が若返っている。スコセッシがVFXってなんかイメージと違うので意外な印象。

トラック運転手から裏世界に足を踏み込んだフランクが、自分の人生を変えることになるラッセル(ジョー・ペシ!!!)が現れたところで、本気で落涙。若い頃の姿はなんら違和感がない。10年以上前に引退して表舞台から立ち退いていた彼が、今、リアルにどんな姿なのかもわからないが、90年代に「カジノ」や意外やホームコメディ「ホーム・アローン」で空き巣役を演じていたあの頃が蘇る。

メディアの話によると、ペシに対しては50回もオファーをしたが、すべて断られようやく出演に至ったという。これはもう嫌がらせのレベルで、ある意味怖い圧力も感じる。(笑)リアルにマフィアがペシを震え上がらせたのかもしれない。

そんなラッセル(ジョー・ペシ!!!)とジミー(アル・パチーノ)の板挟みになって困りまくるデ・ニーロがたまらない。

アル・パチーノもこじらせ頑固親父を得意のギャーギャーと喚き散らすうるさいキャラクターを存分に発揮。後半に登場するのだが、まってました。と拍手を送りたくなる思い。

マフィア描写を得意とするスコセッシ、おそらくこれが監督人生最後のジャンル映画と言わんばかりのキャリア集大成的な位置付けと思わざるを得ないほどの気合の入れようのこの作品に、往年の仲間たちが集まって作り上げた作品は絶対に見るべきかと。やもすると今年No. 1になりそうな勢い。

そんな大作なのに、どこのスタジオも製作に手を挙げなかったというのも衝撃的。結局Netflixがこの作品を救った形となり、配信がメインとなっている。映画界、いったいどうなってしまうのか。という不安も同時に残す歴史的大作なのだった。