デザイナーというよりアーティスト。 / 石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか展
世界を代表するデザイナー、石岡瑛子の展覧会「血が、汗が、涙がデザインできるか」展を観てきた。日本の広告が改編期を迎えた1970年代にパルコや角川書店など広告や書籍デザイン、海苔メーカー山本山のパッケージデザインを始め、映画やシルクドソレイユ、演劇などの美術を手がけ、関わった業界全てにおいて賞を受賞するという、天才と呼ぶに相応しい彼女のオールタイムベスト展示会。
彼女の名前は当然知っていたが、映画の衣装を担当しアカデミー賞を受賞した。というイメージが強く、同業者にもかかわらず実はデザインの方の仕事は、あまり認知していなかった。今回の展覧会を通して、改めて石岡瑛子の作品を認知することができた。
展覧会に行って感じたことは、この人は天才。新卒から資生堂でキャリアが始まるというエリートぶり。面接時に「男性と同じ仕事内容と待遇」を1960年代に言い放ち、恐らくそれが通って入社に至っていると思われる。広告では輝かしい受賞歴、それがきっかけでいろんなところから仕事が来るようになるし、後の映画の仕事などにもつながる。作品に対するコメントや考え方を聞いていると、広告を扱っているけどアーティストに近い印象。広告を制覇すると、立体物に興味を持ち、舞台のセットや衣装などを手がけるようになる。そしてついには映画でフランシス・フォード・コッポラやジョージ・ルーカスなど世界的に有名なクリエイターと仕事をするように。
↑三島由紀夫をテーマにした映画。巨大な金閣寺がパックリ割れるシーンがあるらしく、
展示会場にもそれを再現したレプリカ(?)が設置してあった。
映画好きな自分はゲイリー・オールドマン主演の「ドラキュラ」。作品としては印象が薄いのが正直だけど、衣装はインパクトがあった。あとは「落下の王国」。知らない作品だったがSNSで深夜に放送される。と大騒ぎに。理由はソフト版がリリースされてい(?)ないらしく、現存するものもかなり高価らしい。早速鑑賞したが、アート性の高い衣装と監督が徹底したという世界遺産を中心にロケーションされた風景とのコラボは目を見張るものがあった。
別に嫉妬するわけじゃないけど、こういう人たちの作品や意気込みを見ていると、自分のだめさぶりを感じてしまい、観ていてとても辛くなることもある。(笑)