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真実はすべて美しい。/ある画家の数奇な運命

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2018年製作/189分/R15+/ドイツ
原題:Werk ohne Autor
配給:キノフィルムズ

現代美術界の巨匠ゲルハルト・リヒターをモデルにトム・シリング主演を主演に迎えて制作されたサスペンス歴史大作映画「ある画家の数奇な運命」観賞。

【あらすじ】

芸術を愛する叔母(ザスキア・ローゼンダール)の影響で絵画に興味を抱くクルト(トム・シリング)は、精神を病んだ彼女をナチス政権の安楽死政策によって殺されるというつらい過去を抱えていた。彼は東ドイツの美術学校で叔母を思わせる面持ちのエリー(パウラ・ベーア)と恋に落ちるが、彼女の父(セバスチャン・コッホ)は叔母の死に関わった元ナチス高官だった。その事実を知らないままクルトはエリーと結婚。芸術の自由を求めて彼女と西ドイツに亡命し、創作活動に没頭する。(シネマトゥデイより抜粋)

 

【感想】

今年No.1作品。ただし「エクストリーム・ジョブ」「黒い司法」と同列1位。ドイツ人俳優で一番好きなトム・シリング出演。ということ以外に何の予備知識も持たずに観賞。主人公クルトの30年にわたる、ナチス政権、ドイツの東西分裂に翻弄されながらも叔母が残した「目を逸らさないで。真実はすべて美しい」という言葉を製作活動の指針とした激動の作家活動。

ラストに登場するクルトが描く作品は写実的ながらも神々しく、感動さえ覚える。その絵の中の人物が指差す先にあるものは。戰慄する。

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↑モノクロながらも美しすぎる絵画。感動した。

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↑クルトがアートに目覚めたのも、叔母のおかげ。

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ナチスの「断種政策」と称した殺人。優秀な種だけを残すべく体や精神に問題あり。と見做された者は精神病院へ連れて行くと見せかけてガス室送り。ユダヤ人だけでなく、自分の国の国民にも手をかけていた。ということは知らなかった。衝撃だった。叔母も劣等種と見做され亡くなる。そのジャッジをした医師が、のちにクルトが結婚するエリーの父親だった。

 

大好きと言いながら、実はスクリーンで観るのは初めてなトム・シリングだったが、冒頭の登場シーンから格好良さ全開。腰に手を当てキャンバスに筆を走らせる姿さえも神々しい。「コーヒーをめぐる冒険」で彼を知りファンになった。

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嫁役エリーのパウラ・ベーアは「婚約者の友人」で主演を張った女優さんでした。この映画も好きで「コーヒーをめぐる冒険」同様ソフト購入。

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嫁の父親を演じる殺人医師を演じるのはセバスチャン・コッホ。岩のような顔立ち、悪人ヅラ。観た事があるな。と思ったらハリウッド映画にかなり出演されている。

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ドイツの歴史の闇とクルトが紡ぎ出す芸術の光。ナチスも彼から芸術までは奪えなかった。いやぁ、見応えあった。ありすぎた。ぜひにぜひにぜひに。