ネタバレあり。変態しか出てこないバイオレンス群像劇。/悪魔はいつもそこに
Netflix製作、9/16配信(公開)の「悪魔はいつもそこに」を鑑賞。
【あらすじ】
戦後の腐敗と暴力にまみれた田舎町。愛する者を守ろうともがく青年の周りで、邪悪な人間たちの思惑が渦を巻く。(Netflixから抜粋)
【感想】
私好みのスーパーヘビーなアメリカの田舎町を舞台にした骨太サスペンス。予備知識を全く持たずに観たので、次々と登場する主役級の役者がワンサカ出てくるたびにテンションは上がる一方。男性のナレーションが挿入される方式で話は進むのだが、いちいちその内容が不穏で何やらとても嫌な感じな空気感が全体に漂っており「これは何やらとてもヤバそうな映画だな」と予感させる。
冒頭は、人物紹介。田舎町あるある、曲者揃い。変態揃い。個性豊かな彼らの相関図が、話とともに関連性を持ち始め、ラストにはそれぞれがキッチリと伏線回収されていく流れは壮観。素敵。
冒頭に起きる出来事をきっかけに、暴力の連鎖が始まり話は加速していく。極め付けは、本日公開の「テネット」や「ザ・バットマン」に出演するロバート・パティンソン。彼が演じる神父が赴任してきたことで町は地獄に。これがもう、観ていて本当に胸糞が悪くなる思い。(笑)地獄絵図。
↑クズ野郎
ワルは神父にとどまらない。ジェイソン・クラークとライリー・キーオ演じる変態連続殺人夫婦もなかなか凄い。ヒッチハイクをしているイケメン男性を車に乗せてはあの世に送り出す。そのやり方がかなり変態で。(笑)車に乗せた男性に写真を撮ろう。と持ちかけるのだが、なんと嫁と楽しんでいるところを夫が撮影するというサービスぶり。もちろん、お楽しみの後は、男性なら身の毛もよだつ方法で殺されるのだが。しかもすぐには殺さない。痛めつけて苦しんでいる姿もきっちり写真に収めるアーティスト精神。見習いたい。無差別に人々を殺している彼らの車に、ある人物が乗ることになり、話は急展開するのだが。
↑人を殺めなければ、芸術家として開花していたかも。笑
個人的にはビル・スカルスガルドが一番印象強かった。父の影響で信仰心を持つも、息子が見ている前で人をフルボッコにしたり、妻(ヘイリー・ベネット)が病に倒れて以降、狂信的な信者に変貌してしまったり。心はとても弱かった。
↑「イット」のペニーワイズでブレイク。
妻役のヘイリー・ベネットは存在そのものからセクシーオーラを放つ異彩な女優さんで、出てきた時には大喜びだったけども、自分が記憶している姿から比べると、役作りなのか、かなりふっくらされた感じだったので、実は最初は似てる人なのかな。と暫くわからなかった。(笑)
↑出番が少なくて残念。
悪徳保安官を演じたセバスチャン・スタンも同じ。ベルトとシャツのボタンがはち切れんばかり。体型や顔の輪郭も太りすぎていて彼と認識するのに少々時間を要した。
↑ウィンター・ソルジャー。好きなキャラの一人。
まとめると、戦時中のアメリカの田舎あるあると暴力の連鎖、信仰心とは。を問うた内容がなかなか深かった。そんな田舎に巣食う変態たちを、スパイダーマンことトム・ホランドがバシバシと成敗していく痛快劇画。2時間20分と少々尺は眺めながらも、集中して終始鑑賞できる骨太ヒューマンサスペンス、ハラハラドラマなのだった。
↑スパイダーマンの時のようなノーテンキなキャラは影を潜め
心に傷をおった物静かな青年を熱演。変態無双。