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スポ根映画の傑作!/ウォーリアー

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2011年製作、2015年日本公開の「ウォーリアー」鑑賞。

 

【あらすじ】

アル中の父親から逃れるため母親と一緒に家を出たトミーが、14年ぶりに父親のもとを訪ねてきた。学生時代にレスリング選手として活躍していた彼は、高額の賞金がかけられた総合格闘技イベント「スパルタ」に出場するため、元ボクサーである父親にコーチ役を依頼する。一方、かつて格闘家の選手だったトミーの兄ブレンダンは、現在は教師として働きながら妻子を養っていたが、娘の病気に高額な医療費がかかり自己破産の危機に陥ってしまう。ブレンダンは愛する家族を守るため、総合格闘技の試合で金を稼ぐ事を決意する。(映画.comより抜粋)

 

【感想】

冒頭から名作の予感しかしないこの作品、なんと日本では公開されずにDVDスルーになったというかなりショッキングな経緯を持つ。誰が気づいて日本に持ち込んで来てくれたのかはわからないが、その人に感謝したい。

 結果から言うと、「ロッキー」をも凌ぐ。と言ってしまっていいほどのスポーツ映画の傑作と表現したい。自分が観た中にも傑作と呼べる「リアル・スティール」「ダンガル、きっと強くなる」も超えそうな勢い。

リアル・スティール」は人間ではなくロボットを操作してボクシングをすると言う異色だがヒュー・ジャックマン演じる父親失格な男と認知していない実子の男の子の親子の絆再生胸熱スポ根映画。

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「ダンガル、きっと強くなる」はインド産のレスリング映画で、伝説的なレスリング選手が息子を屈強なレスリング選手に育て上げる事を夢見ていたものの、生まれてくるのは全部女性。ならば女性をレスリング選手にしてしまおう。と言うインドに実在する女性レスラーの話。レスリングのルールは知らずとも、映画を観ているうちに叩き込まれ、ラストには一緒になって本当にスポーツ観戦をしていると錯覚させるほどの熱狂が待っており、これも名作。

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その2つの作品を超えるものに出会おうとは。(観たばかりで熱量が高いのも確かだけど)

この映画はボクシングでもレスリングでもなく、総合格闘技。急所以外であれば何処を殴ろうが、蹴ろうが、投げ飛ばそうが、関節技をかけようが自由。ある意味本当の闘いが繰り広げられる。

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ストーリーは最初、ニック・ノルティ演じる元アル中親父と、息子のトミー(トム・ハーディ)がスポーツを通して親子の縁を再生させる話だと思わせておいて、実はその兄(ブレンダン)との確執も同時に描くと言う意外な展開。また、トミーには隠された過去があり、それがラストに向かうにつれて明らかになり、最後の山場で大盛り上がり。シンプルなようで意外と伏線が張られてはいるものの、ちゃんと最後には回収してスッキリ胸熱。

スポーツ映画の定番、ラストには大きな大会があり、そこで優勝できるかどうか…?と言う展開はこの映画でも踏襲しているが、そのラストの対戦カードが!!! どっちが勝つのか? どっちに勝って欲しいのか? と観る者を苛め抜くドS要素も。残念なのは別バージョンのポスターでそれをネタバレしている事なのだが、この部分は伏せておいた方が、より映画を楽しめると思う。

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そして、注目のキャスト。ブレンダン役のジョエル・エドガートンは引退した身体に鞭打って娘の医療費を払う為に一攫千金を狙う中年男性を演じる。再び金網に囲まれたリング(オクタゴン)でかつての闘志を静かに燃やすシーンは胸熱。一発KOタイプではなく、地道にマウントを取り、ギブアップを狙って行く知性派。

対する弟のトミーは元々の性格なのか、戦争での経験とトラウマがそうさせたのか、多くを語らず、スパルタで華麗な勝利を収めても、そそくさと引き揚げてしまうし、一家離散させた張本人である元アル中の父親を「スパルタで勝ち抜くために利用するだけのコーチ」と割り切り一緒にトレーニングをしたり。何か闇を抱えたキャラ設定。そんなトミーをトム・ハーディが佇まいだけでそのキャラクターを体現。

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もう、ラストの彼を観ているだけで泣けます。セリフは全然ないのに、トミーの心理描写をしてしまう芸達者ぶり。「マッドマックス怒りのデスロード」も、そんな役だった。

と、スポーツ映画としてのストーリー、感動や総合格闘技の試合の編集の巧みさ、演者のレベルの高さが相まって、スポーツ映画としてはかなりのハイレベルの域にまで昇華している傑作・名作と言っても過言ではないと思う。とにかく素晴らしい。ぜひに。

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