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【ネタバレ】ガラスの十代。/WAVES

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作品が話題作ばかりという、インディーズ系映画スタジオA24発の青春プレイリスト映画「WAVES」を鑑賞。

 

【あらすじ】

フロリダで高校生活を送るレスリング部のタイラーはスター選手で、成績も良く、美人の恋人もいた。厳格な父親と多少の距離はあるが、満ち足りた毎日を過ごしていたある日、タイラーは肩を負傷してしまう。医師は大事な試合に出場することを許さず、さらに恋人の妊娠が発覚して順調だった人生が狂い始める。(Yahoo映画より抜粋)

 

【感想】

音楽好きな割に映画館だとあまり頭に入ってこない。(笑)謳い文句には「プレイリストムービー」となっているし、監督もそれを認めているにも関わらず。確かに劇中の歌詞と物語の話の内容がリンクしていたので、音楽も重要な要素であった。しかし自分は感動ヒューマンドラマという印象。音楽だけでなく内容も素晴らしかった。

 

とある裕福な家族の崩壊と再生を描いた作品。前半は家族の描写と、兄がきっかけで家族が崩壊してゆく様を。後半は妹を通して家族が再生してゆく様を感動的に描くという内容。予告編も観ず、どんな内容なのかも知らずに観たので、前半のパートで終わるのかと思って「!?」と思ってたら、まだ先があった。

 

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↑リア中の兄。アスリートのくせにメンタルがへにゃちん。見ててイラつく。(笑)

 

序盤から何か不安定な要素はあった。立派な家に住み、兄はスポーツ万能、恋人も。父と母は共同で事業を営み好調。でも、厳格な父と兄との間には何やら不穏な空気が流れているし、母は実の親ではない。という不安要素はいくつかあった。その要素が兄の身体の故障をキッカケに一気に崩壊、恋人の妊娠を知ることで彼は最悪な行動を取り、家族は崩壊へ。

 

後半。どうなるのかと思っていたら、ほとんど登場することのなかった妹が主役。兄の影響でキャンパスライフに大きな影を落とすことに。心に傷を負い、楽しいはずの大学でもいつも1人で過ごしていた。

 

そこに現れたのがルーカス・ヘッジス演じる同級生。展開は読めるけど、彼が妹に話しかけるシーンは、彼女の閉ざされた心に光を当てる様が、2人のやりとりを見ているだけで感じられる、落涙モノのハイライト。

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↑A24の作品ばかりに出演している、ルーカス・ヘッジス。

 

2人は距離を縮めて行き恋人に。そして彼自身も家族の悩みを抱えていて、今度はその傷を妹が癒した。彼が抱えていた長年の家族に関する問題は解決され彼もまた心の再生を彼女によって得たのだった。

 

この妹の瑞々しさと、心に傷を負った様がヒシヒシと伝わってきてとても辛い。ティーンエイジャーを演じていたが、実際は26歳の方で、調べなきゃ地で演じてるのかと錯覚するほどの芸達者ぶりだった。

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↑十代かと思ってたら。この世代の瑞々しさや繊細さ、心にあった傷を体現してて「スゲェ」となった。

 

この2人があまりに噛み合いすぎているので調べたら、実生活でも恋人のようだった。

 

そして終盤の父と妹の釣りのシーン。兄の影響で母と心が離れてしまい、どうすれば良いのか分からなくなってしまった父の告白と、兄が犯した事故の日に、その場に居合わせながら「兄を止めれば事故を防げたかもしれないのに、何もしなかった自分」を激しく責め後悔していると同時に兄をどうしても許せないでいる。と告白する妹のシーンは、この作品のクライマックス。

 

壊れてしまった物や、やらかしてしまったことは取り戻せないけど、まだこの家族は再生できる。という希望に繋がる感動的なシーンだった。

 

この映画、ストーリーだけではなくカメラアングルや音楽、ポスターから見てわかる様に映像の色彩美も魅力。気がつかなかったけど画面の画角も展開に合わせて変えているらしいので、その辺意識して観るとより楽しめるのかも。