ザ・プレイス 運命の交差点
イタリア映画「ザ・プレイス 運命の交差点」を観た。
【あらすじ】
予告編からして面白そうな匂いがプンプンしやがる。
なんでも望みを叶える「謎の男」が常駐する
「ザ・プレイス」というカフェに
様々な悩みを抱える人々がやって来て
彼に相談を持ちかける。
それを通して浮き彫りになる人間模様。
不思議なことに、その男の掲げたミッションを達成すれば、
その人の願いは、ほぼ、叶う。例えば…
●視力を取り戻したい
↓
●女を犯せ
●アルツハイマーの夫を治療したい
↓
●爆弾作って人混みに仕掛けろ
●ガンの病から幼い息子を救いたい
↓
●幼い少女を殺せ
…と、かなりの無茶振り。
果たして依頼人はミッションを成し遂げて
自分の願望を成就させることができるのか?
謎の男も淡々とミッションを与えて行くが
やがてあることを機にめんどくさい方向に
物語は転がって行く。
【感想】
もともとはアメリカのテレビドラマ
「The Booth 欲望を喰う男」
のリメイクらしい。
それをワンシチュエーションものとしてアレンジ。
ワンシチュエーション映画は結構ある。
俗にいう「○○縛り」というやつで
魁はヒッチコックの「ロープ」や
もう1つ何かあったが
タイトルを失念した。
閉所恐怖症は失禁するであろう
ライアン・レイノルズの「リミット」は
最初からずっと地面に埋められた棺桶の中。恐怖。
ずーっと部屋の中。
近年だと、パソコンの画面の中だけで話が展開する
「パソコンの画面縛り」の衝撃作「サーチ」だったり
どのくらい、自分の子供のこと知ってますか。/サーチ|: 壊れかけてないエンタメRadio
110番のコールセンターの中で
得られる情報は電話先の相手の音のみ。という
「ギルティ」。
電話つながりで、ずっと電話ボックスから
離れられなくなった男を描く「フォーン・ブース」。
同じく、謎の男からずっと狙われ続けて身動きが取れなくなり、
動けば射殺、ジッとしてれば暑さで死ぬ。
行き場のない砂漠で
生死のサバイバルを描いた「ザ・ウォール」。
ヨーロッパ映画も縛り映画があり
スーパーマーケットの売り場が舞台、
スーパー淡々と人々の生活を描く傑作「希望の灯り」
まだまだあるけど、キリがないのでこの辺で。
…と、自分にとって大好物な設定のだった。
映画の舞台はずーっとカフェの中。
主役のおじさんはずーっと座ったまま。
このおじさん、いつも何かを食べているのだけど
それらの美味しそうなことよ!
そして、音楽。いい。素敵。サントラ欲しい。
なによりも、ずっと気になっていたのが謎の男が使うメモ帳。
良い感じの皮の表紙のメモ帳に
びっしりと文字が書き込まれていて、
一体何が書いてあるのか。
男はこの手帳を見て、依頼者にミッションを伝える。
また、依頼者が進捗を伝えに来た時にも、
熱心に男はそれを書き留めているのも気になる。
まさに願いを叶える魔法の手帳。
手帳好きにはたまらない。
自分の欲望を叶えるにはそれなりの代償が必要。
しかも他人の。という設定の面白さと
カフェに座っているおっさんが映っているだけなのに
これだけ物語をエキサイティングにする監督の手腕がすごい。
無駄なし。贅肉削ぎ落とし切った演出で物語に集中できる。
快作。