壊れかけてないエンタメRadio

引っ越しました。

エンタメ全般のごった煮放送。

映画というより、体験。/ウトヤ島、7月22日

f:id:miyabiyama2019:20190321224323j:plain

 

www.youtube.com

72分間をワンカットで撮影した

ウトヤ島、7月22日を鑑賞した。

 

【あらすじ】

2011年7月22日午後3時17分、ノルウェーの首都オスロ政府庁舎爆破事件が起き、8人が死亡する。さらに同日の午後5時過ぎ、オスロから40キロの距離にあるウトヤ島で銃乱射事件が発生し、32歳のノルウェー人アンネシュ・ベーリング・ブレイビクが、サマーキャンプに参加していた10代の若者たちを次々と殺害する。(シネマトゥデイ

 【感想】

作り手の思惑通り、映画を見ているというより

自分もその現場に連れて行かれたかのような感覚になった。

  

この映画は72分間、カメラを回しっぱなし。

途中で場面が変わったりとテレビや映画みたいに

「これは作り物なんだな」

という印象を全く与えない。

 

なので、スクリーンでの出来事が

まるで自分が体験しているかのように感じる。

 

一体何が起きているのか。

誰がこの騒ぎを起こしているのか。

相手は何人いるのか。

 

映画開始からほどなくして

「事件」は起こるのだが、まず銃声が本当に恐ろしい。

銃声が響くたびにビクっとなった。

不謹慎ながら、映画の中の銃声はかっこいいとか

やもすると心地いい。なんて感じていたこともあった。

美術品や趣味として扱われることもあるが、

基本は殺傷するのが目的。ってことを改めて感じさせる。

犯人は、確実に相手を死に至らしめるために

ひとりに2発、発砲していたという。

いやぁ、映画を観ていて、ここまで恐怖するってなかったかも…。

 

【テロの背景】

 

2011年7月22日にノルウェーで起きた

史上最悪のテロ事件は、なんと単独犯だった。

たった一人で77人を殺傷。しかも時間をかけて。

 

このウトヤ島の大量殺戮の前に

ノルウェーの政府庁舎で車に積んだ爆弾で

大量の犠牲者を出している。手作りの肥料爆弾で。

 

そして、この犯人は用意周到。

事件前の準備も抜かりないのだが

自分の思想を世間に知らしめるために

ウトヤ島では射殺されず、生きて身柄を確保される。

ノルウェーの裁判の審理は全てが公開されので

それを利用し、自分の思想を広める狙いがあったとされ

審理は非公開になった。

 

犯人は精神鑑定で総悟失調症と診断され

精神病院送りにされそうになるが

自分の思想を主張する目的があるのか

精神病ではない。という主張を貫いたそうな。

 

死刑制度と無期刑の制度がないノルウェーなので

彼はおそらく、いままだ、刑務所でのうのうと暮らしている。

 

【関連作品】

 

きしくも、Netflixで同じウトヤ島のテロを扱った映画が配信されているらしい。

こちらは犯人も登場する様で、「ウトヤ島7月22日」とは

違ったアプローチで事件を捉えている。

 

後で知ったのだが、本作の出演者は皆、演技は素人。

俳優でもワンカット撮影は難しいのに

どうやって72分ものワンカットを撮影したのか。

 

まずは、細切れにシーンごとに慣れるまで演じてもらう。

そして慣れた頃に、72分1発撮りを敢行。

それを1日1回、5日間程撮影し、ベストテイクを映画化。

という流れらしい。

そして、ロケ地もテロ事件のあったウトヤ島にて。

 

昨年公開された、巨匠クリント・イーストウッド

テロを題材に「15時17分、パリ行き」を演技経験のない、

しかも本当にその場に立ち会った本人を起用して映画を作った。

 

f:id:miyabiyama2019:20190321232407j:plain

 

恥ずかしながら、ウトヤ島のテロ事件は知らなかった。

同じ年の9月11日に世界貿易センターでのテロ事件との

関連性はあるのか否か。

 

恐ろしかった。

ウトヤ島で亡くなられた犠牲者の方に

ご冥福を祈らずにはいられない。